臨床神経学

症例報告

18椎体レベルにわたり広がった非外傷性脊髄内出血の1例

鈴木 将史1)2)*, 安藤 哲朗1), 川上 治1), 杉浦 真1), 加藤 博子1), 稲垣 智則1)

Corresponding author: 豊橋市民病院神経内科〔〒441-8570 愛知県豊橋市青竹町字八間西50番地〕
1)JA愛知厚生連安城更生病院神経内科
2)現:豊橋市民病院神経内科

症例は48歳男性である.弁置換術後よりワルファリンとアスピリンの内服が開始された.その約1ヵ月後,左腋窩から左側腹部にかけての異常感覚と両側前腕橈側の疼痛が出現した.発症後2週間の経過で疼痛の部位が両側前腕から両肩と背部に移動し,続いて後頸部へと移動した.その間に対麻痺や感覚障害,膀胱直腸障害などの神経症候が悪化したが,疼痛の消失と共に神経症候の悪化も停止した.脊髄MRIではC1からT11レベルにわたる広範囲な脊髄内出血をみとめた.18椎体レベルにわたる脊髄内出血の症例報告は少なく,その経過,画像所見を報告するとともに,脊髄鉛筆状軟化との病態の類似性について考察する.
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(臨床神経, 53:536−542, 2013)
key words:脊髄内出血,脊髄,出血,抗血栓療法,脊髄鉛筆状軟化

(受付日:2012年11月26日)