臨床神経学

短報

ドパミン作動薬誘発性開顎ジストニアを合併した進行性核上性麻痺の1例

田野 大人1), 金子 仁彦1), 菊池 昭夫1)*, 長谷川 隆文1), 武田 篤1), 青木 正志1)

Corresponding author: 東北大学病院神経内科〔〒980-8574 仙台市青葉区星陵町1番1号〕
1)東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経内科学分野

症例は74歳男性である.61歳時に動作緩慢で発症,認知機能障害,垂直性核上性眼球運動障害,仮性球麻痺,パーキンソニズムをみとめ,精査の結果進行性核上性麻痺と診断した.ドパミン作動薬の急激な増量ならびに過剰投与による開顎ジストニアをみとめたが,ドパミン作動薬の漸減・中止により開顎ジストニアは軽快した.進行性核上性麻痺症例の中にはドパミン作動薬が有効な例もあるが,本例のようにドパミン作動薬の急激な増量ならびに過剰投与が各種ジストニアの原因となることがあり注意が必要である.
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(臨床神経, 53:308−311, 2013)
key words:開顎ジストニア,口・下顎ジストニア,進行性核上性麻痺,ドパミン作動薬誘発性ジストニア

(受付日:2012年3月7日)