臨床神経学

短報

緑茶抽出物飲料の過剰摂取により低カリウム血性ミオパチーをきたした1例

福元 恵1), 山城 亘央1), 小林 史和1), 長坂 高村1)*, 瀧山 嘉久1)

Corresponding author: 山梨大学医学部神経内科学講座〔〒409-3898 山梨県中央市下河東1110〕
1)山梨大学医学部神経内科学講座

症例は49歳男性である.数日の経過で進行する四肢脱力により歩行できなくなったため,当院に緊急搬送された.脱力発作の既往歴や家族歴はなかった.血清カリウムが1.9 mEq/lと低下しており,低カリウム血性ミオパチーと診断した.経口的にカリウム補充をおこなったところ,血清カリウム値,症状ともにすみやかに改善し,治療中止後も再発はなかった.カリウム代謝に関連した内分泌学的異常はみとめず,患者は,去痰目的に市販の総合感冒薬を10年間連日服用し,肥満解消目的に,症状出現2週間程前より緑茶抽出物健康飲料を大量摂取していたことから,これらにふくまれるカフェインの大量摂取が低カリウム血症の原因であると考えられた.
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(臨床神経, 53:239−242, 2013)
key words:低カリウム血症,低カリウム血性ミオパチー,カフェイン,緑茶抽出物飲料

(受付日:2012年5月10日)