臨床神経学

症例報告

胸腔洗浄中に脳空気塞栓症をきたした1例

宮城 愛1)*, 寺澤 由佳1), 山本 伸昭1), 和泉 唯信1), 梶 龍兒1)

Corresponding author: 徳島大学病院神経内科〔〒770-8503 徳島県徳島市蔵本町2丁目50-1〕
1)徳島大学病院神経内科

症例は78歳男性である.慢性膿胸に対する胸腔洗浄中に左片麻痺を発症し,頭部CTで点状の空気像をみとめたために,脳空気塞栓症と診断された.頭部CTとほぼ同時期に実施した頭部MRI-T2*強調画像で頭部CTの空気像と同部位に多発低信号をみとめた.発症から7時間後のT2*強調画像では多発する低信号は発症2時間後よりも小さく,より広範にみられるようになり,第54病日では点状の低信号はほぼ消失していた.近年,急性期脳梗塞の診断にMRIをおこなうことが多くなっており,脳空気塞栓症の急性期MRI所見を知っておくことは重要と考える.
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(臨床神経, 53:109−113, 2013)
key words:脳空気塞栓症,胸腔洗浄,MRI,T2*

(受付日:2012年1月24日)