臨床神経学

<シンポジウム(4)―17―4>ALSにおけるコミュニケーション障害とその対策:完全閉じ込め状態への挑戦

ALS患者におけるコミュニケーション戦略:BMIの現状と展望

長谷川 良平1)

1)産業技術総合研究所ヒューマンライフテクノロジー研究部門〔〒305-8568 茨城県つくば市梅園1-1-1中央第2〕

産業技術総合研究所では重度運動機能障がい者のコミュニケーションを支援するために,認知型BMI技術をもちいた意思伝達装置「ニューロコミュニケーター」の開発を進めている.本システムは,脳波のリアルタイム解析によってメッセージの候補(ピクトグラム)を同定することが可能である.このシステムを実現するために,3つのコア技術,1)ポータブルかつワイヤレスの脳波計測機,2)高速・高精度の脳波解読アルゴリズム,3)階層的なメッセージ生成システムをもちいている.健常者実験では1回の選択あたり,95%以上の精度で予測をおこなうことができた(情報量として毎分32ビット相当).現在,在宅患者対象のモニター実験を介してさらなる技術改良をおこなっている.
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(臨床神経, 53:1402−1404, 2013)
key words:脳波,意思伝達支援,ブレイン-マシン インターフェース

(受付日:2013年6月1日)