臨床神経学

<シンポジウム(4)―12―3>孤発性疾患における遺伝子異常の探索法

Exome解析による孤発性疾患の疾患関連遺伝子の探索

三井 純1)

1)東京大学神経内科〔〒113-8655 東京都文京区本郷7丁目3-1〕

ゲノムワイド関連解析により孤発性疾患の多くの疾患感受性遺伝子が同定されたが,同定された遺伝因子の影響度は一般的に低く,家族内集積性の多くが説明できていない.最近のシーケンシング技術の進歩によって,これまで未解明だった低頻度で影響度の大きい遺伝因子探索が可能になるかもしれない.しかし膨大な変異の中から疾患と関連する変異を検出することは統計学的に困難な課題である.われわれは最近,家系例を手掛かりに孤発性患者においても強い影響度を持っている遺伝因子をパーキンソン病と多系統萎縮症において明らかにした.家族内集積性に注目することは,影響度の強い遺伝因子に対する効率の良いアプローチの一つかもしれない.
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(臨床神経, 53:1336−1338, 2013)
key words:孤発性疾患,ゲノムワイド関連解析,パーキンソン病,多系統萎縮症,家族内集積性

(受付日:2013年6月1日)