臨床神経学

<シンポジウム(4)―3―2>神経心理学の進歩:たいせつなことをわかりやすく

記憶は脳のどこにあるのか?

藤井 俊勝1)

1)東北福祉大学感性福祉研究所〔〒981-8522 宮城県仙台市青葉区国見1丁目8-1〕

記憶という言葉の意味は広い.記憶と脳の関連を考えるばあい,記憶機能に関連する脳領域なのか,保持されている情報の貯蔵に関連する脳領域なのか,どちらも考慮する必要がある.また,記憶の内容もさまざまであり,それぞれの記憶に関連する脳領域は異なっていると考えられている.一般的な意味で記憶というばあい,エピソード記憶をさす.エピソード記憶機能(エピソードの記銘・保持・想起/再現に関連する脳領域としては,内側側頭葉,間脳(視床・乳頭体),前脳基底部が挙げられる.エピソードの内容の貯蔵には,これらの領域以外に,記銘時に活動した脳領域が関連するというモデルがあるが,今後の検証が必要である.
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(臨床神経, 53:1234−1236, 2013)
key words:記憶,エピソード記憶,内側側頭葉,間脳,前脳基底部

(受付日:2013年6月1日)