臨床神経学

<シンポジウム(4)―3―1>神経心理学の進歩:たいせつなことをわかりやすく

病巣からみた高次脳機能障害

鈴木 匡子1)

1)山形大学大学院医学系研究科高次脳機能障害学〔〒990-9585 山形県山形市飯田西2-2-2〕

高次脳機能障害は神経学的症候である.ただし,運動や感覚などにくらべると病巣と症状の対応は単純ではない.その理由としては,病前能力や機能分布の個人差や,高次脳機能の階層性が挙げられる.高次脳機能障害と病巣の関係を探る研究はこれまで脳血管障害などの局所脳損傷が中心であったが,近年,神経変性疾患における萎縮部位と症候の関連が注目されるようになった.神経心理学における神経内科医の役割は,高次脳機能障害の特性を理解して的確に症状を把握すること,適切な神経放射線学的・神経生理学的検査を施行し,各疾患の病態をふまえたうえでネットワークとして機能低下部位を捉えること,その上で両者の関係を考察することである.
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(臨床神経, 53:1231−1233, 2013)
key words:高次脳機能障害,局在,脳血管障害,変性性認知症,失構音

(受付日:2013年6月1日)