臨床神経学

<シンポジウム(3)―3―5>脳梗塞急性期治療の最前線

脳梗塞急性期の抗凝固療法・抗血小板療法

伊藤 義彰1)

1)慶應義塾大学神経内科〔〒160-8582 東京都新宿区信濃町35〕

脳梗塞急性期に抗血栓療法を施行するにあたっては,病態に合わせた適切な治療法を選択する必要がある.まずアテローム血栓症では,急性期に血小板血栓による動脈原性塞栓症が病態の中心であり,強力な抗血小板剤による血栓形成を抑制することが重要である.最新のRCTでは抗血小板剤併用が単剤と比較して脳梗塞予防効果がすぐれていることが示され,かつ短期間の併用であれば脳出血のリスクは増大しなかったことから,今後の標準的な治療法となると考えられる.一方,心房細動による心原性塞栓症に対しては,最近,新規経口抗凝固薬が開発され,これらの薬剤を急性期から投与する治療法の有効性,安全性が検討されつつある.
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(臨床神経, 53:1172−1174, 2013)
key words:動脈原性塞栓症,血行力学不全症,血小板併用療法,新規抗凝固薬,分枝アテローム病

(受付日:2013年5月31日)