臨床神経学

<シンポジウム(2)―7―4>筋疾患研究最前線

新しい先天性筋ジストロフィー

西野 一三1)

1)国立精神・神経医療研究センター神経研究所疾病研究第一部〔〒187-8502 東京都小平市小川東町4-1-1〕

「ミトコンドリア構造異常をともなう先天性筋ジストロフィー」は,生下時早期より筋力低下・筋萎縮ともに,強い精神遅滞をきたす常染色体劣性疾患である.組織学的には,筋線維中心部のミトコンドリア消失と筋線維辺縁部のミトコンドリア巨大化を特徴とする.日本人,トルコ人,イギリス人患者計15名でCHKB遺伝子の機能喪失型劣性変異をみいだした.患者生検筋ではコリンキナーゼ活性が著減し,フォスファチジルコリンも減少していた.このことは,本疾患がCHKB機能喪失を原因としていることを示している.病理学的・生化学的にはmitophagyが観察され,mitophagyによってミトコンドリアが消失しているものと考えられた.
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(臨床神経, 53:1112−1113, 2013)
key words:先天性筋ジストロフィー,コリンキナーゼ,ミトコンドリア,リン脂質,マイトファジー

(受付日:2013年5月30日)