臨床神経学

<シンポジウム(1)―3―2>神経筋疾患における発症前遺伝子診断の現状と課題

看護職の立場から考える発症前遺伝子診断の現状と課題

柊中 智恵子1)

1)熊本大学大学院生命科学研究部〔〒862-0976 熊本県熊本市中央区九品寺4-24-1〕

神経筋疾患では,遺伝子診断をおこなってはじめて診断を確定できる疾患もあり,遺伝子診断の意義は大きい.しかし,この診断結果が多くの血縁者にもたらす影響は甚大であり,発症前遺伝子診断や出生前遺伝子診断といった人生を左右する選択に波及する.常染色体優性遺伝性疾患のひとつである家族性アミロイドポリニューロパチーで発症前遺伝子診断を受けた人5名に対しておこなった質的研究では,‘遺伝'がその人の人生に,そして家族ダイナミクスにも大きな影響を与えていた.遺伝性疾患患者・家族を支えるには,遺伝子診療部だけでなく,遺伝に関する一次・二次・三次相談というすべての医療機関が連携して継続した支援ができる体制作りが重要となる.
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(臨床神経, 53:1003−1005, 2013)
key words:発症前遺伝子診断,家族性アミロイドポリニューロパチー,体験,遺伝カウンセリング・遺伝相談

(受付日:2013年5月29日)