臨床神経学

症例報告

ものわすれ外来でフォロー中に軽度認知障害から認知症へ移行した嗜銀顆粒性認知症の1剖検例

岩崎 靖1)2)*, 森 恵子2), 伊藤 益美2), 辰己 新水1), 三室 マヤ1), 吉田 眞理1)

Corresponding author: 愛知医科大学加齢医科学研究所〔〒480―1195 愛知県長久手市岩作雁又1番地1〕
1)愛知医科大学加齢医科学研究所神経病理部門
2)小山田記念温泉病院神経内科

症例は死亡時87歳の女性である.84歳時に自ら記銘力の低下を訴えてものわすれ外来を受診し,約3年間外来フォローされた.初期には軽度認知障害と診断されたが自己中心的な行動がめだった.経過観察中に認知症へ移行し,Alzheimer病と臨床診断された.経時的な臨床検査所見では立方体図形模写課題が良好であり,画像所見では左右差のある側頭葉内側面の萎縮,進行性の扁桃核と海馬の萎縮がみとめられた.病理学的検索によりAlzheimer病変は軽度で,認知機能障害は嗜銀顆粒性認知症によると考えられた.
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(臨床神経, 52:660−665, 2012)
key words:嗜銀顆粒性認知症,Alzheimer病,認知症,精神症状,軽度認知障害

(受付日:2012年2月22日)