臨床神経学

<シンポジウム(3)―5―1>神経内科医にとっての筋強直性ジストロフィー診療上の盲点

筋強直性ジストロフィーtype 1 における耐糖能障害

田 博仁1), 小山 慶信1), 今 清覚1), 後藤 尚2)

1)青森病院神経内科〔〒038―1331 青森市浪岡女鹿沢平野155〕
2)秋田赤十字病院内科

筋強直性ジストロフィーtype 1における糖代謝異常はインスリン抵抗性を特徴とする.インスリン抵抗性は複数要因に基づき,耐糖能障害は2型糖尿病とはことなる機序で進展する.耐糖能障害の早期では空腹時血糖の低値が特徴的であり,経過と共に耐糖能障害が増悪する例があるので,早期からの介入が望ましい.早期におけるインスリン抵抗性の改善には,塩酸メトホルミンによる介入が有効である.糖尿病発症例は軽症のばあいが多いが,昼から夕にかけて高くなる血糖のコントロールに難渋する例もあるので注意が必要である.
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(臨床神経, 52:1259−1260, 2012)
key words:筋強直性ジストロフィー,耐糖能障害,インスリン抵抗性,空腹時血糖,メトホルミン

(受付日:2012年5月25日)