臨床神経学

症例報告

素潜り漁中に発症した脳型減圧症の1例

松尾 龍1)*, 荒川 修治1), 古田 芳彦1), 金澤 有華1), 鴨打 正浩2), 北園 孝成2)

Corresponding author: 九州労災病院脳血管内科〔〒800―0296 福岡県北九州市小倉南区曽根北町1―1〕
1)九州労災病院脳血管内科
2)九州大学病院腎高血圧脳血管内科

症例は61歳男性,素潜り漁師である.6時間の素潜り漁の後,ふらつきを自覚し受診した.受診時の頭部CTで左頭頂葉に気泡陰影をみとめた.第3病日の頭部MRIでは両側後頭―頭頂葉にFLAIR画像,拡散強調画像で高信号域をみとめ,脳型減圧症と診断した.高気圧酸素療法を施行したところ症状は改善した.素潜り中に減圧障害による脳障害をおこす頻度は少ないとされるが,長時間の深い潜水をくりかえし,急速な浮上をおこなうと素潜りにおいても減圧症を発症する可能性があることが示唆された.また,これまで素潜り中におきた減圧症で頭蓋内気泡を確認した報告はなく,文献的な考察を加えて報告する.
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(臨床神経, 52:757−761, 2012)
key words:脳型減圧症,素潜り,MRI,気泡

(受付日:2012年3月17日)