臨床神経学

総説

脳小血管病とは何か

小野寺 理

Corresponding author: 新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター分子神経疾患資源解析学分野〔〒951―8122 新潟市中央区旭町1―757〕
新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター分子神経疾患資源解析学分野

近年,脳小血管病という言葉が注目を集めている.脳小血管病は,脳梗塞の再発,認知機能の悪化,歩行障害などと関連し,その病態の解明が急務である.脳小血管は,構造,構成する細胞や分子がことなるいくつかの血管を指す.そのうち,毛細血管は周皮細胞という細胞を持ち,血液脳関門,血管壁による老廃物の排出という機構を担う.今まで判明した多くの遺伝性脳小血管病では,平滑筋細胞の脱落,中膜の変性をみとめる.これは,間質液の排出障害や,周皮細胞の障害による毛細血管の機能不全をひきおこす可能性もある.今後,小血管の機能解剖がより詳細に解明されるにつれて,本症が解明されることが期待される.
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(臨床神経, 51:399−405, 2011)
key words:脳小血管病,周皮細胞,遺伝性脳小血管病,血管周囲腔,毛細血管

(受付日:2011年2月8日)