臨床神経学

短報

皮膚生検で早期に診断しえた側頭極病変に乏しいCADASILの1例

今野 卓哉1), 梅田 麻衣子1), 梅田 能生1), 野崎 洋明2), 小宅 睦郎1), 藤田 信也1)*

Corresponding author: 長岡赤十字病院神経内科〔〒940―2085 長岡市千秋2丁目297―1〕
1)長岡赤十字病院神経内科
2)新潟大学脳研究所神経内科

症例は40歳男性である.脳血管障害の危険因子がないものの,1年間に5回の脳虚血発作をきたし,頭部MRIで小血管病を示唆する多発性の病変をみとめた.家族歴からCADASILをうたがったが,特徴的とされる側頭極の白質病変に乏しかった.皮膚生検で電子顕微鏡下に血管平滑筋の基底膜にGOMの沈着をみとめ,CADASILと診断した.皮膚生検は遺伝子診断に比して簡便に施行可能であり,画像上の非定型例を診断する上でとくに有用である.
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(臨床神経, 51:770−773, 2011)
key words:CADASIL,脳小血管病,皮膚生検,GOM,Notch3遺伝子

(受付日:2011年3月28日)