臨床神経学

短報

高齢で補足運動野発作を発症した進行性核上性麻痺の1例

鴨川 賢二1)2)*, 奥田 真也1), 冨田 仁美1), 岡本 憲省1), 奥田 文悟1)

Corresponding author:愛媛大学大学院医学系研究科加齢制御内科学〔〒791-0295 愛媛県東温市志津川454〕1)愛媛県立中央病院神経内科2)現 愛媛大学大学院医学系研究科加齢制御内科学

症例は75歳男性である.短時間の失声と無動をくりかえすため入院した.垂直方向の眼球運動制限,頸部・体幹の筋強剛,四肢のパラトニア,開脚小刻み歩行を呈していた.発作時には発語と動作が停止し,強直肢位をとり,吹き出し呼吸となって1分以内に回復した.発作中の意識は保たれていた.頭部MRIは進行性核上性麻痺とラクナ梗塞を示唆する所見であった.脳波では前頭葉徐波がめだち,123I-iomazenil SPECTの3D-SSPで補足運動野近傍の集積が低下していた.カルバマゼピンにより発作は消失した.陰性運動現象を主徴とする補足運動野発作が高齢者においても発症しうることには留意すべきである.
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(臨床神経, 50:485−488, 2010)
key words:補足運動野発作, 陰性運動現象, 進行性核上性麻痺, てんかん, 123I-iomazenil SPECT

(受付日:2010年2月8日)