臨床神経学

短報

抗GT1a抗体陽性であった神経痛性筋萎縮症の1例

野本 信篤, 紺野 晋吾, 村田 眞由美, 中空 浩志, 根本 博, 藤岡 俊樹

Corresponding author:東邦大学医療センター大橋病院神経内科〔〒153-8515 東京都目黒区大橋2-17-6〕東邦大学医療センター大橋病院神経内科

症例は48歳男性である.微熱,食欲低下が1週間続いた後に,頸部の激痛と右側上肢の脱力をみとめた.第3病日に両上肢の脱力,激痛が出現した.肝逸脱酵素の急激な上昇をともなった.右上肢は完全麻痺,左側上肢はMMT3で,深部反射は消失し,神経痛性筋萎縮症と診断した.髄液細胞数2/mm3,蛋白105 mg/dlと蛋白細胞解離をみとめ,IgMおよびIgG抗GT1a抗体が陽性であった.抗GT1a抗体は咽頭頸部上腕型のGuillain-Barré症候群との関与が指摘されており,腕神経叢の障害を呈した本症例の臨床所見と一致した.抗GT1a抗体は一次的に病態と関わった可能性と二次的変化である可能性の両者が考えられた.
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(臨床神経, 50:415−417, 2010)
key words:神経痛性筋萎縮症, 抗GT1a抗体, 肝機能障害, 蛋白細胞解離

(受付日:2010年2月2日)