臨床神経学

第51回日本神経学会総会

<シンポジウム22―4>我が国の臨床神経学発展のための神経内科医の経済的基盤の確立
神経内科領域の臨床経済学的な価値説明について

田倉 智之

大阪大学大学院医学系研究科医療経済産業政策学〔〒565―0871 大阪府吹田市山田丘2―2〕

価値(value)があるものは,一般的に報酬が高くなるのが世の常である.経済学に「使用価値」や「交換価値」などという概念があるが,診察・処方などの内科系診療技術が有する価値は,どのように考えるのが妥当であろうか.また,不可逆的な特性を有する生命・健康が対象となるなか,受益者と負担者が一部ことなる国民皆保険制度のもと,大なり小なり公共資本の投入が求められる医療市場において,その価値に見合う対価の水準はどのように検討すべきであろうか.本講演では,複雑かつ困難なテーマであることを認識しつつも,社会の幸福(wellbeing)の最大化を目的に,神経内科診療の価値の考え方と公的医療制度における評価方法について検討を試みた.
Full Text of this Article in Japanese PDF (568K)

(臨床神経, 50:1055−1057, 2010)
key words:技術評価,費用効果,難易度,原価,成果

(受付日:2010年5月22日)