臨床神経学

短報

筋強直性ジストロフィーとDuchenne型筋ジストロフィーの低酸素血症時における鼻翼呼吸

鈴木 幹也1)2)*, 大矢 寧1), 村上 善勇1), 小川 雅文1), 川井 充1)2)

Corresponding author:国立病院機構東埼玉病院神経内科〔〒349-0196 埼玉県蓮田市黒浜4147〕
1)国立精神・神経センター病院神経内科
2)現 国立病院機構東埼玉病院神経内科

筋強直性ジストロフィー1型(DM1)とDuchenne型筋ジストロフィー(DMD)で,鼻翼呼吸と経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)との関係を検討した.鼻翼呼吸は,DMDではSpO2が95%以下で生じたが,DM1ではSpO2が82%でも生じなかった.DMDは鼻翼呼吸があれば,低酸素血症への対応が必要だが,DM1では鼻翼呼吸で低酸素血症の有無は判断できず,診療の際に注意を必要とする.DM1対象患者では鼻翼を随意的に動かせなかったが,DM1で低酸素血症時に鼻翼呼吸がみられなかったのは,呼吸困難感の知覚に異常があるためか鼻翼を動かす筋の筋力低下のためかは明らかではなく,今後の検討が必要である.
Full Text of this Article in Japanese PDF (246K)

(臨床神経, 49:278−280, 2009)
key words:鼻翼呼吸, 筋強直性ジストロフィー, Duchenne型筋ジストロフィー, 呼吸困難感, 低酸素血症

(受付日:2008年11月16日)