臨床神経学

短報

Multidetector row helical CT(MDCT)をもちいたCT angiographyが流入血管の同定に有用であった脊髄硬膜動静脈瘻

小別所 博1), 三井 茂1), 石原 広之1), 藤井 正彦2), 川崎 竜太2), 橘 滋國3), 苅田 典生1)

1)神戸大学医学部附属病院神経内科〔〒650-0017 神戸市中央区楠町7-5-2〕
2)同 放射線科
3)北里大学医学部附属病院脳神経外科
現 西島病院脳・脊髄・心臓疾患センター

症例は59歳の男性である.膀胱直腸障害と左大腿部痛のため当科を受診した.MRIにて脊髄円錐の腫大,MRA, CTミエログラフィにて脊髄背面に異常な血管構造をみとめ,脊髄硬膜動静脈瘻(DAVF)をうたがった.肋間動脈と腰動脈の血管造影では異常をみとめなかったが,multidetector row helical CT(MDCT)をもちいたCT angiography(CTA)で,左S1椎間孔より脊柱管内を縦走する血管を確認した.左内腸骨動脈造影をおこない,外側仙骨動脈より流入するS1レベルのDAVFと診断し,外科的離断術により画像所見と症状は改善した.仙骨レベルのDAVFの同定にはMDCTをもちいたCTAが有用である.
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(臨床神経, 48:205−207, 2008)
key words:脊髄硬膜動静脈瘻, 外側仙骨動脈, multidetector row helical CT(MDCT), CT angiography(CTA)

(受付日:2007年6月8日)