臨床神経学

短報

細菌性髄膜炎との鑑別を要した神経ベーチェット病の1例

祢津 昌広, 鈴木 直輝, 水野 秀紀, 高井 良樹, 三須 達郎, 青木 正志, 中島 一郎, 糸山 泰人

Corresponding author:東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経内科学分野〔〒980-8574 宮城県仙台市青葉区星陵町1-1〕
東北大学大学院医学系研究科神経・感覚器病態学講座神経内科学分野

症例は30歳の男性である.激しい頭痛,発熱および軽度の意識混濁を呈し救急搬送された.神経学的所見では髄膜刺激症状陽性,腰椎穿刺にて髄液圧亢進と多核球優位の髄液細胞増多をみとめた.MRIでは脳幹部に造影病変をみとめた他,粒状の病変を脳内に散在性にみとめた.数年前に神経ベーチェット病(NBD)の診断を受けており,NBDの再発を考えたが,細菌性髄膜炎の合併も当初否定できなかった.メチルプレドニゾロンパルス療法とメロペネム,バンコマイシンの併用により数時間の単位で症状の改善がえられ,経過から細菌性髄膜炎は否定された.また,本症例では細菌感染症で上昇するとされる血清プロカルシトニン値が基準値範囲内であり,両者の早期鑑別に有用と考えられた.
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(臨床神経, 48:750−753, 2008)
key words:神経ベーチェット, 細菌性髄膜炎, プロカルシトニン

(受付日:2008年6月25日)