臨床神経学

症例報告

持続性部分てんかん,動作性ミオクローヌスが持続した抗グルタミン酸受容体抗体陽性の自己免疫性脳炎

加藤 裕司1), 中里 良彦1), 田村 直俊1), 富岳 亮1), 高橋 幸利2), 島津 邦男1)

1)埼玉医科大学 神経内科〔〒350-0495 埼玉県入間郡毛呂山町大字毛呂本郷38番地〕
2)国立病院機構静岡てんかん・神経医療センター 臨床研究部・小児科〔〒420-8688 静岡県静岡市葵区漆山886番地〕

症例は19歳男性である.意識障害,痙攣で発症し,振戦,ミオクローヌスが持続した.ステロイド大量療法後,持続性部分てんかん,動作性ミオクローヌス,羽ばたき振戦,協調運動障害が顕在化した.脳脊髄液中で5-HIAAの著明な低下をみとめた.動作性ミオクローヌスにはタンドスピロンが奏効した.本症例では,脳脊髄液中で抗グルタミン酸受容体ε2 IgG型抗体が検出され,自己免疫病態の関与する脳炎と考えた.

(臨床神経, 47:429−433, 2007)
key words:自己免疫性脳炎, 抗グルタミン酸受容体抗体, 持続性部分てんかん, 動作性ミオクローヌス, タンドスピロン

(受付日:2006年12月16日)