臨床神経学

短報

三叉神経痛様の疼痛を主症状としたツツガムシ病

荒井 元美1), 中村 明日香2), 志智 大介2)

1)聖隷三方原病院神経内科〔〒433-8558 静岡県浜松市三方原町3453〕
2)同 総合診療内科

ツツガムシ病の1例を報告した.64歳の男性が,頭痛と発熱を主訴に受診した.左の眼,額と頭皮に電撃様の激痛が頻回にあった.神経学的異常所見はみられなかった.眼球結膜の充血,体幹の赤い皮疹と腋窩に痂皮がみられた.検査所見では,ASTとALTの軽度上昇,CRP上昇,白血球増多,蛋白尿がみられ,髄液のリンパ球がごく軽度増加していた.ツツガムシ病と診断した.ミノサイクリンで治療し,症状はすみやかに軽快,消失した.ペア血清で抗体価上昇があり診断が確定した.ツツガムシ病では三叉神経痛と区別しがたい疼痛が現れることがある.流行時期に頭痛と発熱を訴える患者では,ツツガムシ病も鑑別診断に加える必要がある.

(臨床神経, 47:362−364, 2007)
key words:ツツガムシ病, 髄膜炎, 三叉神経痛

(受付日:2006年12月27日)