臨床神経学

短報

共同偏視と側方注視麻痺を呈した橋梗塞の1例

植村 順一, 芝崎 謙作, 井上 剛, 井口 保之, 木村 和美

川崎医科大学脳卒中医学教室〔〒701-0192 岡山県倉敷市松島577番地〕

症例は75歳男性である.突然の嘔気と左側のみえにくさで発症した.神経学的に右側への共同偏視と左側方注視麻痺をみとめた.頭部MRI拡散強調画像(DWI)にて橋被蓋左傍正中部に微小な高信号域をみとめ脳梗塞と診断した.本例はその眼球運動障害の責任病巣として左paramedian pontine reticular formation(PPRF)と左外転神経核の障害がうたがわれた.急性期の頭部MRI DWIにてその責任病巣が確認された貴重な症例である.

(臨床神経, 47:231−233, 2007)
key words:橋梗塞, 傍正中橋網様体, 外転神経核, MRI拡散強調画像

(受付日:2006年7月8日)