臨床神経学

短報

central pontine and extrapontine myelinolysisのMRI所見を呈した,大酒家に生じたビタミンB12欠乏症の1例

永石 彰子1)2), 雪竹 基弘2), 江里口 誠2), 黒田 康夫2)

1)唐津赤十字病院内科〔〒847-8588 佐賀県唐津市二夕子1丁目5-1〕
2)佐賀大学神経内科

症例は55歳男性の大酒家である.1992年に痙性四肢麻痺を主訴として来院し,central pontine and extrapontine myelinolysis(CPM/EPM)のMRI所見をみとめた.大球性貧血を呈したがビタミンB12(B12)は正常であった.2004年末に歩行障害,2005年6月に排尿障害が出現した.同11月に再来院し,著明な下肢痙性と深部感覚低下,貧血の増悪,B12低値をみとめた.MRIでは橋病変が中脳まで拡大し,脊髄に異常はなかった.B12補充療法で貧血,神経症状は改善した.CPM/EPMの病変形成にB12欠乏の関与が推測された.

(臨床神経, 47:173−176, 2007)
key words:ビタミンB12, 橋中心髄鞘崩壊症, 橋外髄鞘崩壊症, 亜急性連合変性症, ホモシステイン

(受付日:2006年7月3日)