臨床神経学

短報

急性散在性脳脊髄炎に末梢神経障害を合併し,大量免疫グロブリン療法とステロイドパルスの併用療法が有効だった1例

白岩 伸子1), 吉澤 利弘2)*, 大越 教夫3), 玉岡 晃2)

1)筑波記念病院神経内科〔〒300-2622 つくば市要1187-299〕
2)筑波大神経内科〔〒305-8576 つくば市天久保2-1-1〕
現 NTT東日本関東病院神経内科
3)筑波技術大保健学科(神経内科)〔〒305-0821 つくば市春日4-12-7〕

髄膜炎様症状で発症した17歳男性である.横断性脊髄炎症状,MRI上胸髄下部(Th11〜12)の病変が加わり,ステロイドパルス療法をおこなうも,意識障害,呼吸筋麻痺,両側外転神経麻痺,眼振,両上肢麻痺が出現した.MRIでは脳幹全体に病変をみとめ,全体の経過から急性散在性脳脊髄炎と考えられた.また電気生理検査上,末梢神経障害がみられた.ステロイドパルス療法と大量免疫グロブリン療法(IVIG)の併用により,中枢・末梢神経障害双方の改善がみられた.このような中枢・末梢神経障害合併例の治療はまだ確立してはいないが,本例のような重症例にはステロイド治療に加え,IVIG療法を積極的に施行すべきと考えられる.

(臨床神経, 47:169−172, 2007)
key words:急性散在性脳脊髄炎, 末梢神経障害, ステロイドパルス, 大量免疫グロブリン療法

(受付日:2006年6月19日)