臨床神経学

症例報告

眼部帯状ヘルペスによりHorner症候群を呈した1例

小林 康孝, 山本 智子

福井総合病院リハビリテーション科〔〒910-8561 福井市新田塚1-42-1〕
現 主体会病院内科

症例は74歳男性である.右眼瞼の疼痛・発赤・腫脹に続き同部位の皮疹が出現し,帯状ヘルペスの診断のもと,アシクロビルにて加療をおこなった.7病日目に右外転神経麻痺が出現し,入院となった9病日目には右眼瞼下垂と右縮瞳がみとめられた.眼瞼下垂と縮瞳は10日間,外転神経麻痺は3週間で徐々に改善した.内頸動脈に沿って上行した交感神経は,海綿静脈洞内で一部外転神経内を通過しており,眼部帯状ヘルペスにより交感神経,外転神経,三叉神経I枝が一度に障害されたものと考えられる.Horner症候群は一過性であり,初期の段階においては見逃される可能性があり,詳細な観察が必要である.

(臨床神経, 47:105−108, 2007)
key words:眼部帯状ヘルペス, Horner症候群, 外転神経麻痺

(受付日:2006年11月8日)