臨床神経学

短報

細菌性髄膜炎をくりかえした頭蓋顔面骨形成術後Crouzon病の1例

中江 啓晴1)*, 島村 めぐみ1), 高橋 竜哉1), 黒岩 義之2)

1)横浜市立大学附属市民総合医療センター神経内科〔〒232-0024 神奈川県横浜市南区浦舟町4-57〕
現 横浜南共済病院神経内科〔〒236-0037 神奈川県横浜市金沢区六浦東1-21-1〕
2)横浜市立大学医学部神経内科〔〒236-0004 神奈川県横浜市金沢区福浦3-9〕

患者は29歳女性である.既往歴にCrouzon病があり頭蓋顔面骨形成術を2度施行された.23歳時に中耳炎,慢性副鼻腔炎から細菌性髄膜炎となったが,後遺症なく改善した.今回は40℃の発熱,頭痛,意識障害のため入院した.髄液検査から細菌性髄膜炎と診断され,抗生剤の点滴で軽快した.頭部CTで頭蓋内と頭蓋外を結ぶ瘻孔はみとめなかったが篩骨洞炎と蝶形洞炎があり頭蓋顔面骨形成術による頭蓋骨の変形と肥厚をみとめた.頭蓋顔面骨形成術によって生じた死腔のため慢性副鼻腔炎をくりかえし,細菌性髄膜炎になったと考えられた.頭蓋顔面骨形成術後に慢性副鼻腔炎をみとめるCrouzon病では,細菌性髄膜炎とその再発に注意する必要がある.

(臨床神経, 47:665−668, 2007)
key words:Crouzon病, 頭蓋顔面骨形成術, 細菌性髄膜炎, 慢性副鼻腔炎

(受付日:2007年2月21日)