臨床神経学

症例報告

橋本病を合併したIsaacs症候群の1例

井口 正寛, 森松 暁史, 近藤 倫子, 白田 明子, 山根 清美

太田熱海病院脳神経センター神経内科〔〒963-1383 福島県郡山市熱海町熱海5-240〕
現 東京女子医科大学脳神経センター神経内科〔〒162-8666 東京都新宿区河田町8-1〕

橋本病を合併したIsaacs症候群の一例を報告した.患者は26歳女性である.9歳頃から両下肢のmyokymiaが出現し,13歳頃から両下肢に有痛性けいれんをともなうようになった.理学的所見では,両下肢のmyokymiaをみとめた.myokymiaは睡眠時にもみとめられ,運動や入浴で増悪した.発汗亢進もみられた.抗VGKC抗体が陽性であった.針筋電図でも,安静時にmyokymia放電をみとめたため,Isaacs症候群と診断した.われわれの検討では,本邦におけるIsaacs症候群の約23%に,他の自己免疫疾患を合併する.しかし,橋本病を合併した例は,本邦において過去に報告がなく,貴重な症例と考えた.

(臨床神経, 47:662−664, 2007)
key words:Isaacs症候群, ミオキミア, 筋痙攣, 不随意運動, 橋本病

(受付日:2007年7月6日)