臨床神経学

症例報告

40歳代に運動ニューロン疾患様症状で発症した成人型GM2ガングリオシドーシスの1例

高堂 裕平1)*, 小出 隆司1)**, 吉川 健二郎2), 天谷 信忠3), 吉田 泰二4), 石黒 英明1)

1)秋田赤十字病院神経内科〔〒010-1495 秋田市上北手猿田字苗代沢222番地1〕
2)秋田赤十字病院消化器病センター
3)新潟大学医学部保健学科臨床生体情報学講座
4)秋田県立脳血管研究センター病理学研究部
現 新潟大学脳研究所神経内科
**現 平塚市民病院神経内科

42歳時に運動ニューロン疾患様症状で発症したSandhoff病の1例を経験した.当科初診時(46歳),上肢の深部腱反射の亢進,上下肢の筋力低下と筋萎縮をみとめたが歩行は可能であった.緩徐進行性の経過,頭部MRIで軽度の小脳萎縮をみとめたことが運動ニューロン疾患として非典型的であった.末梢血白血球ヘキソサミニダーゼ活性は総活性,A, B活性ともに低下し,直腸神経叢にmembranous cytoplasmic body(以下MCB)をみとめたことより成人型GM2ガングリオシドーシス(Sandhoff病)と診断した.本症例は本邦で最高齢発症のGM2ガングリオシドーシスの報告である.

(臨床神経, 47:37−41, 2007)
key words:Sandhoff病, GM2ガングリオシドーシス, ヘキソサミニダーゼ, 運動ニューロン疾患

(受付日:2006年6月27日)