臨床神経学

短報

副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を合併した側頭葉てんかんの1例

竹内 啓喜1), 池田 昭夫1), 大塚 快信2), 斎木 英資3), 下濱 俊1), 高橋 良輔1)

1)京都大学大学院医学研究科臨床神経学(神経内科)〔〒606-8507 京都市左京区聖護院川原町54〕
2)同 高次脳機能総合研究センター
3)北野病院神経内科

側頭葉てんかんに副甲状腺機能低下症による低カルシウム血症を合併した1例を報告した.症例は30歳男性で,発作は数秒〜十数秒つづく未視感,全般発作も2度おこしていた.脳波とFDG-PETの結果よりてんかん原性は弱く,フェニトインが有効であったがカルシウム代謝に影響しないバルプロ酸を選択した.本例は側頭葉の焦点の閾値が低カルシウム血症でさらに下がったと考えられた.

(臨床神経, 46:510−512, 2006)
key words:側頭葉てんかん, 低カルシウム血症, 副甲状腺機能低下, フェニトイン, バルプロ酸

(受付日:2005年12月29日)