臨床神経学

原著

緩徐進行性小脳萎縮症に対する大量免疫グロブリン療法の効果

竹口 将文, 南里 和紀, 沖田 光紀, 田口 丈士, 石河 朝子, 斎藤 博彦

東京医科大学八王子医療センター神経内科〔〒193-0944 東京都八王子市館町1163〕

9例の緩徐進行性小脳萎縮症に対して大量免疫グロブリン療法をおこなった.孤発群4例では,著効1例,有効1例,やや有効2例であった.著効した1例では抗GAD抗体が陽性であった.遺伝性萎縮症5例では,SCA3の2例において有効であったが,他の3例では無効であった.緩徐進行性小脳萎縮症には免疫異常による小脳萎縮症がふくまれている可能性があり,抗GAD抗体や抗グリアジン抗体をふくめた詳細な自己抗体検査,全身腫瘍検索,神経伝導検査などをおこない,免疫異常による病態がうたがわれたばあいには免疫治療をおこなうことも考慮すべきと考えられた.

(臨床神経, 46:467−474, 2006)
key words:小脳萎縮症, 抗GAD抗体, IVIg, 抗グリアジン抗体, SCA3

(受付日:2005年12月17日)