臨床神経学

症例報告

若年性パーキンソニズム例の妊娠

神里 尚美1), 西平 竹夫1), 村尾 寛2), 高良 はな絵2)

1)沖縄県立南部医療センター神経内科〔〒901-1193 沖縄県南風原町字新川118-1〕
2)同 産婦人科

33歳の女性例を報告した.29歳時に右上肢脱力と振戦で発症した.若年性パーキンソニズムと診断され,抗コリン薬の投与が開始された.右上肢の動作が困難となり,カベルゴリンとカルビドパ/レボドパ(メネシット)少量が追加された.治療開始3年目に妊娠したが,カベルゴリンの胎児への影響を懸念し夫婦の判断で中絶した.計画妊娠を試み,カベルゴリンを減量・中止し再度妊娠.妊娠中に運動重症度が悪化し,メネシット高用量(1,000 mg/日)内服とレボドパ持続点滴を併用しながら帝王切開で分娩したが,児は健常であった.妊娠の可能性があるパーキンソン病患者では,挙児希望を確認し妊娠初期の胎児毒性を軽減する方向で治療計画を立てる必要がある.

(臨床神経, 46:400−403, 2006)
key words:若年性パーキンソニズム, 妊娠, 抗パーキンソン病薬, 支援サービス

(受付日:2005年10月25日)