臨床神経学

短報

拡散強調画像で大脳皮質に高信号を呈したGerstmann-Sträussler-Scheinker症候群の1例

三隅 洋平, 西田 泰斗, 荒木 淑郎

社会保険大牟田天領病院神経内科〔〒836-8566 大牟田市天領町1丁目100番地〕

症例は59歳女性,58歳時より緩徐に進行する運動失調で発症し,痴呆,ミオクローヌスが出現した.脳波上は周期性同期性放電(PSD)を,MRIでは大脳皮質,基底核に拡散強調画像(DWI)で高信号をみとめた.本患者の祖母,母,叔父二人も同様に急速に進行する痴呆と運動失調を呈し数年の経過で死亡していたことから,家族に十分な説明をおこない同意をえて遺伝子診断を施行したところGerstmann-Sträussler-Scheinker症候群(GSS P102L)の診断をえた.DWI高信号域は約4カ月間で大脳皮質全体に拡大した後は徐々に消退した.1年後にはDWI高信号域ほぼ消失し,大脳全体は著明な萎縮にいたった.

(臨床神経, 46:291−293, 2006)
key words:プリオン病, 運動失調, 小脳, MRI, P102L変異

(受付日:2005年7月28日)