臨床神経学

症例報告

慢性特発性骨髄線維症に皮膚筋炎を合併した1例

伊藤 晶子1), 梅田 麻衣子1), 小池 正2), 成瀬 聡1), 藤田 信也1)

1)長岡赤十字病院神経内科〔〒940-2085 長岡市寺島町297-1〕
2)同 血液内科

症例は74歳女性である.3年間の慢性特発性骨髄線維症の経過中に,紅斑性皮疹,筋肉痛,筋力低下が出現し,皮膚筋炎を合併した.ステロイドパルス療法およびステロイド後療法で,皮膚症状,筋症状ともに軽快傾向を示したが,ステロイドの漸減ができず,アザチオプリンを併用したところ,末梢血中の芽球が消失し,血小板数も増加し,骨髄線維症に対しても効果を示した.骨髄線維症には種々の自己免疫疾患が併発することが報告されているが,皮膚筋炎の合併はきわめてまれで貴重な症例と考えられた.

(臨床神経, 46:210−213, 2006)
key words:慢性骨髄線維症, 皮膚筋炎, アザチオプリン

(受付日:2005年5月6日)