臨床神経学

短報

急性散在性脳脊髄炎による脳梁離断症候群

田中 優司1)2), 西田 浩2), 林 留美子3), 犬塚 貴1), 大槻 美佳4)

1)岐阜大学大学院医学系研究科 医科学専攻 神経統御学講座 神経内科・老年学分野〔〒501-1194 岐阜市柳戸1-1〕
2)岐阜県立岐阜病院 神経内科
3)岐阜県立岐阜病院 リハビリテーション科言語療法室
4)北海道医療大学 心理科学部

急性散在性脳脊髄炎による脳梁離断症候群をきたした1例を報告した.症例は54歳女性右きき.先行感染2週後に急性散在性脳脊髄炎を発症.神経心理学的検討で脳梁離断症状をみとめた.色名の呼称障害をともなわない純粋失読をみとめたこと,脳梁離断症状と吃音様症状(stuttering)をみとめたこと,手指の位置覚情報の移送に左右差をみとめたことが特徴的であった.急性脱髄性脳脊髄炎による脳梁離断症候群の報告はなく,きわめてまれであると考えた.

(臨床神経, 46:50−54, 2006)
key words:急性散在性脳脊髄炎, 脳梁失行, 脳梁離断症候群, 純粋失読, 吃音

(受付日:2004年10月20日)