臨床神経学

症例報告

痙攣発作で発症したtop of the basilar syndromeの2症例

永沼 雅基1), 橋本 洋一郎1), 松浦 豊2), 寺崎 修司2), 平野 照之3), 内野 誠3)

1)熊本市立熊本市民病院神経内科〔〒862-0909 熊本市湖東1-1-60〕
2)熊本市立熊本市民病院脳卒中診療科
3)熊本大学大学院医学薬学研究部神経内科学分野〔〒860-0811 熊本市本荘1-1〕

症例1は76歳の男性である.就寝中に突然声を張り上げ,痙攣をおこし当院搬送となり,意識障害と左片麻痺をみとめた.症例2は70歳の男性である.入浴中に意識障害が出現し,当院搬送時に痙攣,意識障害と四肢麻痺をみとめた.2症例とも,脳梗塞発症時もしくは発症直後に痙攣が出現し,その後麻痺を呈した.2症例とも塞栓性機序による脳底動脈遠位端閉塞(後に再開通)で,頭部MRIの拡散強調画像にて両側視床内側,脳幹および小脳に梗塞巣をみとめ,大脳皮質には梗塞巣はみとめなかった.脳底動脈の塞栓性閉塞による脳梗塞で発症時に痙攣をみとめた2症例であった.脳底動脈の塞栓性閉塞の発症直後に痙攣をきたす症例も念頭におく必要がある.

(臨床神経, 45:647−651, 2005)
key words:脳幹梗塞, 脳底動脈閉塞, onset seizure, top of the basilar syndrome, Toddの麻痺

(受付日:2004年10月16日)