臨床神経学

原著

わが国におけるジストニー治療の現況

目崎 高広1), 林 明人2), 中瀬 浩史3), 長谷川 一子4)

1)榊原白鳳病院 神経内科〔〒514-1251 三重県久居市榊原町5630〕
2)順天堂大学医学部 脳神経内科・大学院リハビリテーション医学講座〔〒113-8421 東京都文京区本郷2-1-1〕
3)虎ノ門病院 神経内科〔〒105-8470 東京都港区虎ノ門2-2-2〕
4)国立病院機構 相模原病院 神経内科〔〒228-8522 神奈川県相模原市桜台18-1〕

日本神経学会評議員585名に対し,ジストニー治療の現況についてアンケート調査をおこなった.168名から回答をえた.眼瞼攣縮,攣縮性斜頸,書痙,全身性ジストニーでは,いずれも内服治療を第1選択とする回答がもっとも多かった.治療成功率は眼瞼攣縮でもっとも高く,次いで攣縮性斜頸>書痙>全身性ジストニーであり,眼瞼攣縮と攣縮性斜頸では,内服治療よりもボツリヌス治療を第1選択とした群の方が高い治療成功率を示した.また攣縮性斜頸では,経験症例数が多い方が高い治療成功率を示した.ジストニーの治療戦略を標準化し,効果の高い治療法を積極的に採用することで,施設間格差を減らし,有効率をさらに高める努力が望まれる.

(臨床神経, 45:634−642, 2005)
key words:ジストニー, 治療

(受付日:2005年1月12日)