臨床神経学

短報

食道アカラシアが先行したパーキンソン病の1例

三谷 真紀, 河本 邦彦, 舟川 格, 陣内 研二

独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院 神経内科〔〒669-1592 兵庫県三田市大原1314〕

症例は75歳女性である.63歳頃から嚥下障害,前胸部痛が出現し,食道アカラシアと診断された.66歳から右上肢優位の安静時振戦,歯車様固縮,姿勢反射障害が出現した.2004年(75歳)2月内視鏡的食道バルーン拡張術を施行して,自覚症状と胸部CT上の食道拡張が改善した.本例は食道アカラシアがパーキンソン病に先行したまれな症例である.両病態の発現に示唆を与える症例と考えられた.

(臨床神経, 45:607−609, 2005)
key words:食道アカラシア, パーキンソン病, バルーン拡張術

(受付日:2004年11月18日)