臨床神経学

原著

進行性核上性麻痺の生命予後

饗場 郁子1), 齋藤 由扶子1), 玉腰 暁子2), 松岡 幸彦1)

1)国立病院機構 東名古屋病院神経内科〔〒465-8620 名古屋市名東区梅森坂5-101〕
2)名古屋大学大学院医学系研究科 予防医学/医学推計・判断学〔〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65〕

1991年4月から2003年3月に国立病院機構東名古屋病院神経内科を受診し,臨床あるいは病理診断された進行性核上性麻痺(PSP)45例(男性28例,女性17例)の生命予後を検討した.発症年齢は45〜79歳(平均64.9歳),50%生存期間は6年であった.性,発症年齢,NINDS-SPSPの臨床診断グループ(“probable” vs “possible”)は生命予後に影響していなかった.発症時の症候で生命予後に関連していたのは嚥下障害のみで,発症1年以内に嚥下障害をともなう例ではともなわない例にくらべ生命予後が不良であった(p<0.0001).

(臨床神経, 45:565−570, 2005)
key words:進行性核上性麻痺, 生命予後, 嚥下障害

(受付日:2004年7月16日)