臨床神経学

短報

拡散強調画像が診断に有用であった副鼻腔炎にともなう大脳半球間裂部硬膜下膿瘍の1例

河野 浩之1)2), 米村 公伸3), 三隅 洋平1), 橋本 洋一郎1), 平野 照之4), 内野 誠4)

1)熊本市立熊本市民病院神経内科〔〒862-8505 熊本市湖東1-1-60〕
2)現, 荒尾市民病院神経内科〔〒864-0041 熊本県荒尾市荒尾2600番地〕
3)熊本市立熊本市民病院脳卒中診療科
4)熊本大学大学院医学薬学研究部神経内科学分野

症例は副鼻腔炎のある29歳男性である.発熱,頭痛,嘔吐,意識障害,失語,項部硬直と右下肢運動・感覚障害のため入院した.髄液検査で圧,蛋白,細胞数が増加,造影MRIで大脳半球間裂硬膜下に周囲が軽度造影され,拡散強調画像で高信号の病変をみとめた.副鼻腔炎から波及した硬膜下膿瘍と診断し,副鼻腔ドレナージと内科的治療により急速に症候は改善したが,約3週間後から頭痛,嘔吐,間欠的な右半身の感覚障害・麻痺が出現した.MRIで膿瘍拡大をみとめ穿頭ドレナージをおこない,術後の経過は良好で後遺症なく退院した.本症例は入院直後の拡散強調画像による診断とともに迅速な積極的治療により良好な転帰をえた.

(臨床神経, 45:449−452, 2005)
key words:副鼻腔炎, 頭蓋内硬膜下膿瘍, 大脳半球間裂, 拡散強調画像

(受付日:2004年9月16日)