臨床神経学

症例報告

Brown-Vialetto-van Laere(BVVL)syndromeの1例

根本 博, 紺野 晋吾, 野本 信篤, 若田 宣雄, 栗原 照幸

東邦大学大橋病院神経内科〔〒153-8515 東京都目黒区大橋2-17-6〕

15歳発症のBrown-Vialetto-van Laere(BVVL)syndromeの本邦1例目の報告をした.症例は60歳女性である.15歳時より感音性難聴,四肢の筋力低下・筋萎縮が出現し,症状は徐々に進行した.49歳時当科初診し,四肢全体に筋萎縮,遠位筋優位の筋力低下をみとめた.筋電図上神経原性変化をみとめ,呼吸機能ではいちじるしい%VCの低下があった.2003年(60歳時)にCO2 narcosisのため入院した.III,VII,X,XI,XIIの脳神経麻痺,感音性難聴,遠位筋(下肢により強い)の筋力低下,母指球・小指球をふくむ全身の筋萎縮,舌の線維束性収縮,腱反射の消失,Babinski反射(−)をみとめた.下位の脳神経麻痺,感音性難聴,下位運動ニューロン症状よりBVVL syndromeと診断した.呼吸状態が悪化したため呼吸器装着となった.呼吸状態の改善の後は夜間の無呼吸の出現とCO2の蓄積をみとめたため,呼吸器は夜間のみの装着となった.MRI上錐体路に異常信号はなく,ABRは無反応,VEPでのP100潜時の延長がみられた.

(臨床神経, 45:357−361, 2005)
key words:Brown-Vialetto-van Laere syndrome, sensorineural deafness, ABR, VEP, SMA

(受付日:2004年7月8日)