短報
左大脳半球梗塞発症に際し左肢節運動失行をともなった1例
時里 香1）, 稲富 雄一郎1）, 米原 敏郎1）, 藤岡 正導1）, 橋本 洋一郎2）, 平野 照之3）, 内野 誠3）, 田川 皓一4）
1）済生会熊本病院脳卒中センター〔〒861-4193 熊本市近見5-3-1〕
2）熊本市立熊本市民病院神経内科〔〒862-8505 熊本市湖東1-1-60〕
3）熊本大学大学院脳神経科学講座神経内科〔〒860-8556 熊本市本荘1-1-1〕
4）原土井病院高次脳機能障害センター〔〒813-8588 福岡市東区青葉6-40-8〕
症例は74歳である，男性．左中大脳動脈領域の脳梗塞を発症し，失語，右上肢麻痺，左肢節運動失行が出現した．脳血管造影では両側内頸動脈分岐直後に高度狭窄をともなうプラークがあり，発症3カ月後に左頸動脈血栓内膜剥離術を施行し，左肢節運動失行の改善をみとめた．脳梗塞病変と同側に肢節運動失行が出現し，頸動脈血栓内膜剥離術後に改善した機序として経神経的なtranshemispheric diaschisisの関与，脳梁失行，拮抗性失行の可能性が示唆された．
(臨床神経, 45：246−249, 2005)
key words：肢節運動失行, 頸動脈血栓内膜剥離術, transhemispheric diaschisis, 脳梁失行, 拮抗性失行
（受付日：2004年2月21日）
