臨床神経学

症例報告

脳梗塞様の発症形式をとったカンジダ感染性脳壊死の95歳女性例

日出山 拓人1), 青野 豪1), 上坂 義和1), 國本 雅也1), 那須 道世2)

1)国立国際医療センター神経内科〔〒162-8655 東京都新宿区戸山1-21-1〕
2)同 臨床検査部病理

意識障害と右片麻痺にて発症し,臨床経過および画像所見からは脳梗塞と考えられたが,剖検にて脳カンジダ症と判明した95歳女性例を経験した.高齢以外には明らかな免疫能低下の要因がなく,糖尿病の合併が無い中枢神経系カンジダ症の成人例はまれである.われわれが検索しえた範囲では頭部MRIによる画像と剖検による病理学的検索を対比した報告ははじめてであり,貴重な症例と思われる.

(臨床神経, 45:230−234, 2005)
key words:カンジダ感染性壊死, 剖検, MRI

(受付日:2004年6月1日)