臨床神経学

短報

トリヘキシフェニディールにより幻触が出現したパーキンソン病の1例

舟川 格, 陣内 研二

独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院神経内科〔〒669-1592 兵庫県三田市大原1314〕

トリヘキシフェニディールにより幻触が出現したパーキンソン病の1例を報告した.患者は71歳の女性である.幻覚はトリヘキシフェニディール投与開始約6.5カ月後に出現し,同剤投与中止後4日目以降には完全に消失した.幻覚は夜間に出現し,主に足に感じる非常にはっきりとした不快な感触であった.幻視,幻聴はともなわなかったが,部分的に幻嗅,体性幻覚をともなった.抗パーキンソン病薬による幻触の報告は本邦でははじめてであり,文献的考察を加え報告した.

(臨床神経, 45:125−127, 2005)
key words:幻触, 体性幻覚, トリヘキシフェニディール

(受付日:2004年5月31日)