臨床神経学

短報

皮質反射性ミオクローヌスを呈した成人発症ハンチントン病の1例

舟川 格, 木村 健一, 陣内 研二

独立行政法人 国立病院機構 兵庫中央病院神経内科〔〒669-1592 兵庫県三田市大原1314〕
現 兵庫県立柏原病院内科

遺伝子診断にて確定されたハンチントン病に,皮質反射性ミオクローヌスを呈した1女性例を報告した.患者は51歳の女性で20歳頃から行動異常が出現した.26歳頃から不随意運動(舞踏運動)が出現したが,ミオクローヌスの出現時期は不明である.電気生理学的検査では巨大SEPはみとめなかったが,C反射の存在が確認され,jerk-locked back averaging法にてミオクローヌスに先行する2つの複合波形がみとめられた.これらのことからミオクローヌスは皮質反射性であることが証明された.ミオクローヌスに対してクロナゼパムは当初有効であったが,しだいにその効果は減弱した.ハロペリドールは無効であった.ハンチントン病の表現型は多彩であり,舞踏運動にミオクローヌスが混在する症例があることを心に留めておく必要がある.

(臨床神経, 44:639−642, 2004)
key words:ハンチントン病, 皮質反射性ミオクローヌス, jerk-locked back averaging, C反射

(受付日:2003年12月12日)