臨床神経学

症例報告

50歳で発症した特発性Paroxysmal kinesigenic choreoathetosisの1例

岩崎 靖1)2), 中村 友彦1)2), 浜田 健介1)2)

1)名城病院神経内科〔〒460-0001 名古屋市中区三の丸1-3-1〕
2)名古屋大学医学部神経内科〔〒466-8550 名古屋市昭和区鶴舞町65〕

50歳男性が右半身に発作性異常運動を示した.特徴的な臨床所見からParoxysmal kinesigenic choreoathetosis(PKC)と考えた.中年発症である点や,家族歴を持たない点が非定型的であるが,他の基礎疾患をみとめないことより特発性と考えた.頭部MRI,脳波所見に異常はみられなかったが,発作間歇期のSPECTで臨床症候と反対側の基底核領域に血流低下がうたがわれた.カルバマゼピン200 mg/日の投与で効果はえられたが,発作を完全に抑制するためには500 mg/日の投与が必要であった.本症例は特発性PKCとしては検索しえたかぎりでは最高齢の発症で,その疾患概念,責任病変,発症年齢を検討するうえで貴重な症例と考えられた.

(臨床神経, 44:365−368, 2004)
key words:発作性運動誘発性舞踏アテトーシス, 特発性, 中年発症, SPECT, 大脳基底核

(受付日:2003年12月2日)