臨床神経学

症例報告

エンテロウイルスの感染が考えられた再発性辺縁系脳炎の1例

法化図 陽一1), 橋口 良也1), 佐竹 真理恵1), 細矢 光亮2)

1)大分県立病院神経内科〔〒870-8511 大分市大字豊饒476番地〕
2)福島県立医科大学小児科〔〒960-1295 福島市光が丘1〕

両側辺縁系にMRIにて高信号域をみとめた,再発性辺縁系脳炎の28歳女性例を報告した.25歳時に痙攣,言動異常,意識障害で発症した.辺縁系脳炎の診断にて治療され,症状は徐々に軽快し消失した.28歳時頭痛,記憶障害,痙攣等の症状が出現した.RT-RCR法により25歳時のストック髄液と28歳時の髄液よりエンテロウイルスRNAが検出され,エンテロウイルス感染にともなう再発性脳炎と考えられた.本例のように基礎疾患をみとめない症例で,同部位での再発性脳炎の報告は渉猟しえた範囲では最初の報告であり,貴重な症例と考えた.

(臨床神経, 44:165−170, 2004)
key words:再発性脳炎, 辺縁系脳炎, エンテロウイルス感染, 非ヘルペス性, 磁気共鳴画像

(受付日:2003年6月4日)