臨床神経学

第45回日本神経学会総会

<シンポジウム1-1>脳血管障害治療の最前線
心房細動と塞栓症1次予防

堀 正二

大阪大学大学院医学系研究科病態情報内科〔〒565-0871 大阪府吹田市山田丘2-2〕

高齢化とともに心房細動患者数は増加の一途にあり,塞栓症の年間発症率がきわめて高いことから,その予防法の確立が急務である.欧米では多数の大規模臨床試験がおこなわれ,塞栓症予防ガイドラインとして抗凝固薬や抗血小板薬がもちいた予防方法が確立されている.最近,日本でも心房細動患者に対するガイドラインが制定され,患者のリスクに応じた塞栓症予防法すなわち高リスク症例ではPT-INRで2.0〜3.0のワルファリン投与が,低リスク症例では,無投薬ないしアスピリンの投与が推奨されている.高齢者などの出血性合併症が危惧される症例では,やや低用量のワルファリン投与(PT-INR1.6〜2.6)が推奨されている.

(臨床神経, 44:752−755, 2004)
key words:非弁膜症性心房細動, ワルファリン, アスピリン

(受付日:2004年5月12日)